食事が摂れなくなった高齢者への食事の考え方とケア:省エネモードの体に無理な食事介助は逆効果

よくあるあるのことですが、高齢者施設では、利用者の方の食が細くなる状況に、介護者は悩むことがあります。何と言っても、体の状態を把握し、食事が摂れなくなっている原因が除去できないものであるなら、無理に食事を勧めることはよくありません。胃の調子が悪い、便秘があるという原因がわかるものであれば、その治療、対処をすることで、食が戻ることがあります。
しかし、老衰や病気で、体力が低下してきている人に無理に口に食物を運ぶことは、逆に利用者に苦痛を与えることになります。多くの現場では、三度三度の食事を、できるだけ食べていただこうと、一生懸命職員の方が、長時間かけて食事介助をしている姿を見ることがあります。ある日、講義に行った場で、「ある時期が来たら、栄養のための食事ではなく、楽しみのための食事へ」という話をしました。食べたい時に食べられるだけ、1口でも食べられたことを職員、家族と共に喜ぶということを聞いた職員の方が、「肩の荷がおりました」と、「食べさせなくてはいけないという思いで、粘っていました」と吐露されました。
皆が同じ思いを持って対応していくことが必要です。答えはありません。その時々で、利用者の方にとってはどうすればいいのか、職員、家族のベクトルの方向を一致させることが大事です。そのためには、利用者・家族の納得、職員の納得が大切になります。